物流テックとは?市場規模と注目のベンチャー・スタートアップ企業│コボットLAB

物流テックとは?市場規模と注目のベンチャー・スタートアップ企業

物流テック

ネット通販の興隆に代表されるように、物流業界の変革はめざましいものがありますが、それに伴い業務量は莫大な増加が懸念されています。近年では、デジタル技術を用いた新たなアプローチ「物流テック」によって、物流の様々な業務が効率化されつつあります。

今回は「物流テック」について、言葉の意味から実際の応用例に至るまで幅広く紹介します。

物流テックとは?

物流テックは、一言でいえば「物流×テクノロジー」の新たなビジネススタイルのことを指します。

まず、「物流」とはその言葉が表す通り、「モノの流れ」のことを意味します。たとえば、私たちがネットで注文した商品(モノ)が、遠く離れた倉庫からトラックに積まれ、消費者の自宅まで届けられるというのは典型的な「物流」の例です。

「テック」はテクノロジーの略ですが、物流テックの場合はとりわけITを活用するシステムを指します。つまり、「物流テック」は「モノの流れのIT化」と言い換えられます。

物流テックが解決する課題

物流業界はモノの産業ですが、本質的には「企業や人をモノでつなげるビジネス」です。そのため、一昔前の技術力ではIT化が難しく、人の手による介入が必須の業界でした。

しかしながら、ITの目覚ましい発展で「物流テック」が登場し、煩雑な業務の大幅な効率化・自動化が加速しています。インターネットの発展やデータベースの充実、AIやロボットの実用化によって、かつては人の手が必須だと思われていた業務が次々に自動化されています。

人の力に頼っていた業務を機械が肩代わりする「物流テック」は、物流業界のブレイクスルーとなるビジネス分野であると言えます。

物流テックの市場規模

物流テックは未だ成長段階の業界です。富士経済が2019年初頭に発表した調査によると、物流テック(ロボティクス、IoT、AIを利用した物流システム・物流サービス)の市場規模は2020年予測で約2兆5,000億円でした。

国土交通省の資料「物流を取り巻く動向について」によれば、物流業界の市場規模は約24兆円とされています。つまり、物流業界全体の約10%が物流テックの占める市場規模です。

さらに、物流業界の市場規模は年々増加傾向にあります。少子化が加速している日本では市場規模が縮小する業界が多い中、物流業界の成長は異質といえるでしょう。

物流テックが求められている社会的な背景

先述の通り、物流の市場規模は急速な拡大を続けており、中でも物流テックの市場規模は爆発的に増加が見込まれます。その著しい成長の背景には、社会的な要因があります。

通販の活発化による配送の激増

ネット通販は、今や誰もが利用するサービスとなり、その活発化は誰もが実感していることでしょう。

三井住友カードが実施した調査によると、2020年4月~7月のオンラインでのキャッシュレス決済は「オンラインショッピング」での利用が78.4%に上りました。また、総務省の家計消費状況調査によると、2020年5月の2人以上世帯のネットショッピング利用率が50.5%と過去最高を記録しています。

これらの事実から、ネットショッピングに代表される通販サービスの活発化は明らかです。通販の活発化はモノの流れを活性化しますが、同時に配送業務の負担は激増しています。

少子化に伴う慢性的な人手不足

ネット通販の活発化による物流業務の肥大化に対し、業界は慢性的な人手不足に悩まされています。その原因として切っても切り離せないのが「少子化問題」です。

少子化はどの業界でも人手不足の原因となっていますが、物流業界への打撃は顕著です。

国土交通省の調査によれば、物流業務の労働就業者は約258万人であり、全産業就業者(約6,681万人)の4%程度を占めています。これは国内の地方公務員数約270万人とほぼ同程度であるため、相当な人数が物流業務に就いていることがわかります。

したがって、物流業界は現状でもかなりの人数が動員されており、人手を簡単に増やせるような業界ではないことは容易に想像がつきます。

それにも関わらず、物流業界は人手不足に陥っています。つまり、物流業界の市場規模の発展スピードに、労働力が着いて来られていないということです。物流業界の処理限界に到達しようとしている今、物流テックによるブレイクスルーは必要不可欠であるといえます。

利用者の求めるサービスの質の上昇

インターネットの発展により、物流はスピードが重視される世界になりました。しかしながら、スピードを重視しているからといって、サービスの質が下がってしまえば利用者の満足を得られません。

「人がどうすれば満足してくれるか」という課題は、機械では解決できません。そんなとき、人の気遣いや想像力が武器になります。

しかしながら、業務に追われている状況では利用者のためになる良いサービス・良いアイデアは生まれません。物流テックによって、単純作業や確認業務を自動化・効率化できれば、物流業界の人々の心にも余裕が生まれ、より良いサービスが生まれるのです。

物流テックの具体的な例

次に、物流テックの具体例について紹介してきましょう。一口に物流テックと言っても、多岐にわたる活用例があります。

車両管理の電子化やトラック輸送者向け配車支援

車両管理は、輸送に使われるトラックなどの車両の情報を電子化し、一括管理する物流テックです。トラック管理業務は煩雑で多岐にわたり、基本契約情報管理やリース契約管理、経費管理等業務などやるべきことはさまざまです。これらを電子化することで、面倒なトラック管理を効率化できます。

また、輸送者向けの配車支援の物流テックも登場しています。「荷物を伝票で配送地区ごとに分けて配車をする」というプロセスをPC上のデータで行い、配車計画の効率化を実現しています。また、地図やガントチャートを用いた視覚的かつ計画的な運用が効率的にできるようになり、運賃計算などの財務管理にも一役買っています。

専用ロボットやドローンによる倉庫管理

ネット通販の拡大によって、商品管理倉庫は巨大化しています。Amazonが持つ日本最大級の倉庫の延床面積は6万坪ですので、郊外のショッピングモールくらいの広さがあります。それだけの面積の場所に商品が置かれているわけですから、人の手で管理するのはかなりの労力です。また、倉庫の高所に置かれた商品や、大型商品は人の手では運搬が難しいこともあります。

物流テックの中でも、ロボティクス分野は倉庫内のピッキングや倉庫管理などを自動で行うロボット機器を扱う業界で、物流テックの中でも発展が見込まれる分野です。倉庫専用のロボットやドローンによって、倉庫内の面倒な業務や危険な作業を効率化・自動化できます。

道路状況に合わせた配送ルートの効率化

物流テックの中でも、特に革新的なのが「配送計画システム」です。

このシステムは、複数台のトラックを管理し、積荷や配送ルートを自動で最適化してくれるシステムです。積荷の種類や、トラックの載積量、道路の混雑状況は日々変化し、さらに届け先の希望時刻に正確に配送しなければなりません。

「配送計画システム」は、それらのすべてを考慮した上で、自動で配送計画を算出してくれます。現代のネット通販が活発化した社会において、このシステムはなくてはならないものになりつつあります。

物流テックのベンチャー・スタートアップ企業

では、物流テックのベンチャー・スタートアップ企業について紹介しましょう。物流テックの新興企業は世界各地で次々と生まれています。特に注目株の企業をお伝えします。

GreyOrange

GreyOrangeは2011年創業のインド発の物流テックベンチャーです。AIベースのソフトウェア、機械学習、ロボティクスによって、倉庫管理の自動化を行う物流ロボティクスに特化した業務を行っています。

Amazonが運営するAmazonロボティクスに匹敵するほどの技術力を持ち、Amazonが関連していない企業の倉庫業務にも対応しているため、GreyOrangeは「Amazon Roboticsキラー」とも呼ばれており、今後の成長が見込める企業です。

Shippio

株式会社Shippioは日本発のベンチャー企業で、貿易業務を主に取り扱っています。海上輸入・海上輸出の両面に関して、書類管理・タスク管理・スケジュール確認を効率化できるシステムを提供しています。

クラウドサービスなので、世界中のどこにいても利用しやすいことが強みです。

CBcloud

CBcloud株式会社は日本発の物流テックベンチャーで、物流版Uberとも呼ばれる「PickGO」を運営しています。PickGOは軽貨物配送のためのマッチングサービスで、荷主とフリーランスのドライバーをマッチングし、スピーディな配送が行えます。

最近では、買い物代行サービス「PickGo 買い物代行」も開始し、今勢いに乗っている企業です。

Infinium Robotics

Infinium Roboticsはシンガポールに本社がある物流ロボティクス企業で、倉庫内を飛行するドローンを開発しています。Infinium Roboticsは今まで、空中ディスプレイドローンや配膳ドローンを開発してきた企業で、ドローンに関する技術力は世界トップクラスです。

「Infinium Scan」は倉庫内を飛行し、在庫管理を代行してくれるロボットとして期待されています。

まとめ

物流テックの基礎から応用までを紹介いたしました。

物流テックは、私たちの生活の根幹となる物流業界を大きく転換させる可能性を秘めたビジネスです。また、ネットの発展や少子化にともない、今後成長が確実に迫られる業界でもあります。

物流テックを用いたビジネスは、間違いなく将来発展していくことでしょう。目が離せない業界として注目してみててください。

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